お葬式のしきたりと和の作法(2)

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お葬式の準備が整うと、最初にお通夜が行われます。
親類縁者、知人友人、仕事の関係者などに連絡がいき、参列できる人のみが急いでやってこられます。
最近では場所や費用、手間などの理由で、お葬式が全て終わって落ち着いた段階で、連絡だけしておくという風潮があるようですが、最後の別れをしたいという思いを持つ人もおられます。

連絡だけで済ませようという想いも、相手の手間と時間をとらせてはいけないという配慮から来ているかもしれませんが、亡くなった事実は知人友人でも、すぐに知らせてあげるほうが良いと考えています。

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通夜では夜通し起きていなければならないのは、なぜ?

かつての通夜では、遺体を納棺せずにふとんに寝かせたまま、遺族や近親者たちがロウソクと線香の火を絶やさないようにして、遺体とともに一夜を明かすのが習わしでした。

そのため通夜は、「夜伽」とも呼ばれました。

これは、夜になって邪霊が侵入するのを防ぐとともに、昔は野生動物も多かったので、遺体が襲われるのを防ぐためでもあったといわれます。

最近では、通夜を迎える前に納棺したうえで、遺体を祭壇に安置するのが一般的です。
また、半通夜といって、夜の九時ごろまでに終わる場合が多くなっています。地域によっては、最初の夜は近親者のみで行う仮通夜と、二日目に行う本通夜というように、通夜が二日にわたるところもあります。

なお、入棺するときには、棺のなかに故人が生前愛用していたもの、例えば眼鏡、パイプ、櫛などを添えてあげます。

通夜では、参列してくれた人たちに対して、「通夜ぶるまい」といって酒食が用意される場合もあります。
これは、清めの塩と同じように「酒は死のケガレを清める」という意味があるので、形だけでも口にしてから辞去するのが礼儀です。

お葬式における葬儀と告別式は、本来違うものであった?

葬式とは、死去から埋葬までに行うすべての儀式を指しますが、昔は葬式組といって、村に葬式があった際、中心になって取り仕切る隣近所の人たちの組織ができていました。
現在でも、町内会などが中心になって葬式を取り仕切る地域もあります。

葬儀とは、死者をとむらうための儀式で、故人との別れの儀式である告別式とは別のものでしたが、最近は同義に使われることが多くなっています。

葬儀では僧侶が中心となり、お経を読み、焼香して、故人が成仏してあの世に行けるように祈ります。
この儀式には、原則として、喪主をはじめ遺族や親族など近親者と、生前、故人ととくに親しかった人だけが参列します。これに対して、一般の参葬者は、告別式だけに参列し、焼香して、故人と最後の別れをします。

お焼香は何回するのが正式な作法なのか?

葬儀や告別式の際に行う焼香は、霊前を清め、香を死者に手向ける儀礼であり、香炉で抹香をたいたり、線香をともしたりします。

昔は現在と違って、遺体を二、三日安定させておくドライアイス処理などがなかったので、遺体が腐敗していくことを極度におそれて、抹香をたいて臭い消しにしたともいわれます。

昔から抹香や線香は、シキミの葉から作られました。
シキミは毒草であって、邪悪なものを退けてくれると信じられたようです。
この香をたくという習慣は、中国から伝わったといいます。

ちなみに、仏式の葬式では焼香順位が厳格に決められていて、故人ともっとも近い家族が焼香を行い、続いて親戚縁者、知人・友人などの順で行います。

抹香焼香は、抹香を右手の親指、人指し指、中指でつまんで香炉に入れます。
焼香の回数は、仏、法、僧に拝ぐという意味で、三回を基本とする宗派もありますが、基本的には、とくに定めがないので、一回でも二回でもよいことになっています。

霊前に抹香と線香の両方が用意されている場合には、読経の間は抹香をたき、それ以外は線香をたくのが一般的です。

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戒名は日本だけの風習

枕飾りがすんで、納棺する前に「戒名」がつけられます。戒名に対して、生前の名前は「俗名」です。

仏教では、入門して修行を重ねて、「三帰戒」という僧侶の階層に入れてもらえることを「受戒」といい、このときに与えられるのが僧名に当たる戒名です。

しかし、生前に三帰戒を受ける人はきわめてまれなので、一般人の場合は死去したときに、特例として僧侶に与えられる戒名がつけられ、あの世に送られるのです。

この戒名は、生前の名前から一字を入れてつけますが、子どもの場合は「○○童子」「○○童女」、さらに幼い子どもの場合は「○○孫子(核児)」「○○核女」という戒名がつけられます。
また、宗派によっては戒名とはいわず、「法名」「法号」「法諦」などと呼びます。

戒名にはいくつかの格に分けられていて、昔は寺への寄進度や信仰心の厚さ、さらに生前の地位や身分などによって異なりました。現在でも、差しだす金額の多少によって格付けが異なることもあって、その扱いに対して一部、批判もあります。

また、この戒名の習慣は、広く仏教国のなかでも、日本にしかない独特のものです。
ちなみに、神式の場合は生前の名前の次に、男性ならば「命」、女性ならば「姫命」とつけます。

位牌はなぜ、身近に置いておくのか

故人の戒名を記したものを位牌といい、遺族がお盆や彼岸、命日、あるいは朝晩の供養などの際に、死者の霊と対面するための仏具です。

葬式の際は、戒名を白木に墨書した簡単なものですが、四十九日の忌明け、一周忌や三周忌には、漆塗りや金箔塗りなどの位牌に替えるのが一般的です。

位牌は自宅の仏壇に安置して毎日対面し、お盆になると盆棚に移して供養するもののほかに、菩提寺に預けておいて、お盆や彼岸になると遺族たちが寺を訪れて供養してもらう「寺位牌」と呼ばれるものもあります。

位牌は、鎌倉時代に禅僧が中国から日本に伝えたもので、室町時代には武家社会で霊代として祀られ、一般庶民に位牌が普及したのは江戸時代からといわれます。
地域によっては、本家に位牌を安置するほかに、分家した遺族たちのために位牌を作って供養する「位牌分け」も行われています。

ちなみに神式の場合、位牌に当たるのが、故人の名前(男性なら「命」、女性なら「姫命」を名前の後につけたもの)と生年月日を記した白木で、「御霊代」と呼ばれます。

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