出がけに靴紐が切れるとよくないことが起こる

靴紐が突然切れるというのは、滅多に起きないことだけに、これから何か良くないことが起きるのではないかと勘ぐってしまうのも無理はありません。

特にこの話は、スポーツをしているアスリートがよく信じているという。

この迷信は、何がきっかけで伝承されるようになったのでしょうか?

わらじ

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墓場の入り口に捨てられた草履や草畦がきっかけになった迷信

この「出がけに靴紐が切れるとよくないことが起こる」という迷信は、日本で代々行なわれてきた葬儀の習慣が関係して生まれたと言われています。

現代では人が亡くなると火葬するために、お葬式が終わった後に霊柩車に遺体を乗せて斎場まで運びます。

でも昔は、棺を関係者などが担いで墓まで運ぶ、いわゆる「野辺送り」と呼ばれる方法で死者をあの世へ送り出していました。時々時代劇や昔の集落を舞台にした日本映画などで登場することがあるので、見たことがあるのではないでしょうか。

このとき、参列者は用意された新しい草履や草軽を履き、棺を担いで野辺送りへと出かけました。

昔の埋葬は、現代のように火葬する例は少なく、墓に棺をそのまま地面に埋めることが多かったのです。

そして埋葬が終わると、参列者は一斉に履いていた草履や草畦を脱ぎ、墓場の入り口に捨て、あらかじめ用意しておいた別の履物に履きかえて自宅へと帰っていきました。

なぜ別の履物に履き替えたのでしょうか?

それは、死が関係する催しに使った履物を、自宅に持ち帰ることを忌避していたからです。

そして、野辺送り用の履物は、ただそのまま捨てることはありません。

ひとつひとつ鼻緒を切ってから、墓場の入り口に捨てられました。

これは墓場にいる魔物が、捨てた履物に足を通してうろつくことを防ぐためです。

昔の日本人は、霊や魔物が本当に存在すると信じていました。

だから霊が存在する場所に近づく際は、少しでも日常生活に影響を及ぼすことを避けたい、そんな日本人の心配りから誕生した習慣といえるでしょう。

この昔の習慣と関連づけられ、日常生活で出がけに草履、草畦、下駄などの鼻緒が切れると、死を予感させ、縁起が悪いと考えられるようになったのです。

死や怪我を予感させる風習として、現代にも生きている

それから西洋化した日本人は、靴を履くのが日常的になりました。

それでも、下駄や草履の鼻緒や、スニーカーやビジネスシューズの靴ひもが切れるのは縁起が悪い、なにか悪いことが起きそうと解釈されています。

この「出がけに靴紐が切れるとよくないことが起こる」という言い伝えは、日本人の死生観とともに継承されてきたのでしょう。

今は履物が発達し、靴紐が切れにくくなっていますが、だからこそ極たまに靴紐が切れると本当に悪いことが起きるのではないかと不安になります。

さらに靴紐が朝ゆるんでいるだけで、縁起が悪いと言う人もいるようです。

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