風呂敷のはじまりは、呪術の道具だった?

洋装があたりまえの現代人には、手持ちの物を持ち運ぶ際には服装に合わせた鞄を用います。
形も大きさも用途に合わせ、何個も鞄を持っていると思います。
しかし、もし風呂敷が一枚あれば、すべての鞄の用途を賄うことができるということをご存じでしょうか?

風呂敷
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忘れてはいけない日本人の良き習慣

風呂敷は、大きな物も小さな物も包める便利な道具です。
現在、風呂敷を用いる場面は少なくなりましたが、正式な作法では贈り物を持参するときには、風呂敷に包むことになっています。
そういう習慣があったことすら、知らない人も多いと思います。

現在では、風呂敷に包んだ贈り物を、さらに大きな鞄のなかに入れて持参することも多くみられます。

贈り物の包み方には、「おつかい包み」という一定のかたちがあります。一番簡単でポピュラーな包み方です。

風呂敷の包み方

贈り物を風呂敷に包むのは、贈り物にこめられた気持ちを外に逃がさないようにするという考えからきています。

古代人は、心のこもった物には、自分の魂の一部がついていくと考えました。そのために、包むことによって魂のこもった物を守ろうとしたのです。

祝いごとなどの金包みは、袱紗に包んで持参します。
その場合には、「ふくさ包み」にします。
現金をむき出しで渡すのは、失礼だとされるからです。
これも魂を逃がさないようにという考えからくるもの。
そのために現金は、祝儀袋や封筒などに入れるか、懐紙に包んで渡します。

ふくさ

風呂敷と言えば唐草文様ですが、それには意味がある

正式な作法では、お祝い物は唐草文様の風呂敷に包むことになっています。

近年まで、渦巻く蔦の蔓をかたどった唐草文様の大型の木綿の風呂敷がひろく使われていました。

唐草文様はもともと日本にあったわけではありません。
文様はペルシアでつくられ、平安時代に中国から日本に伝わったといわれています。
蔦という植物は、つよい繁殖力をもち、木の幹などに蔓をからませて成長していきます。

だから昔の人は、蔦の蔓が繁栄をもたらす強い力をもっていると感じました

唐草風呂敷

唐草文様が日本に入ったあと、相手の繁栄を願って贈り物を唐草文様の風呂敷に包むという風習ができました。

その理由は、日本人は贈り物をたんなる物ではなく、相手を祝福する気持ちをあらわすものと考えてきたからです。

だから昔は唐草文様の風呂敷が、各家庭に一枚は必ずありました。
困ったのは、空き巣に入った泥棒がその風呂敷を使って、家の物を盗むことがよくあったので、いつの間にか「泥棒用の風呂敷」のようになってしまうということがありました。

最近ではまた唐草文様が若者の間で流行し、風呂敷に限らず様々な物に使われています。

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