馬鹿、むしゃくしゃ、あかんべい~感情表現の日本語の由来を探る

人を卑下したり、褒めたり、いらいらした気分を表現したり、日本語には微妙な心の表情を映し出す言葉がたくさんあります。
どれも共通して言えるのが、ストレートに感情をぶつけるような言葉は使わずに、相手を思いやって言葉を作り出しているのが特長です。
基本的にどんなに憎い相手でも、傷つけないように配慮しているのが日本人らしさなのかもしれません。

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馬鹿は当て字、「ばか」の語源には諸説ある

一般的によく口に出る「ばか」という言葉。
漢字にすると「馬鹿」になりますが、見れば見るほど不思議です。

馬鹿の使い方は「馬鹿やろう!」と怒ったり、「バーカ」とからかわれたり。「四月馬鹿」「馬鹿やろう解散」というのもあります。

人を卑下する意味で馬鹿をよく使うのは関東が中心で、人を褒めたり可愛がったりする際に馬鹿を使うのは、関西が中心のようです。地方によっても使われ方が違う面白い言葉です。

「ばか」は「馬鹿」と書きますが、実はこれは当て字だそうです。

一説には「鹿をさして馬をなす」という中国の故事から出たという説がありますがが、根拠はないそうです。

馬鹿の語源で有力な説は楚語のモハ(愚か者)の音写というもの。それに中国では「莫詞」「莫何」「莫迦」「婆迦」「馬嫁」などの漢字を当てていたが、日本に入って「ばか」と読むようになりました。
もとのモハの意味は、迷い、無知、暗愚のこと。つまり、釈尊の教えを聞いても、さっぱり理解できない愚か者を「馬鹿」というわけです。

ところで「彼はバカに歌がうまい」といった場合のバカは、莫詞(無知)という意味ではありません。
この場合のバカは摩訶であり、偉大なとか、大変に、という意味があります。

馬鹿とハサミは使いよう、とはいうものの馬鹿の解釈もひととおりではありません。

どうしもならない気持ちを表現した「むしゃくしゃ」

悪い意味で馬鹿といわれると、気分がむしゃくしゃして、どうにもこうにも収まらなくなってしまうことがあります。

「むしゃくしゃする時は、パァーッと買い物でもすると、スッキリするわよ」とは、女性のむしゃくしゃ解消法。

腹が立って我慢がならないさまをいうが、JK,JCの間では、こういうとき「むかつく」とか「激おこ」とかを使うことが多いようです。

「むかつく」は、胸がむかむかするの意で、吐き気を催
させるということだから、乙女にふさわしい語ではありません。

「むしゃくしゃ」はどうかといえば、むしゃは「むさし」の意で、汚らしい、不潔であることを指します。

くしゃは「臭し」で、不快な臭いの意の他に、うさん臭い、怪しいという意味があります。

心の中がむさし+臭しとあっては、髪をかきむしったり、酒を飲んだぐらいでは収まらないとは、うまく表現したものです。

赤い目裏を見せて「あかんべい」

何かいたずらをして、相手に見つかったときに、ぺこちゃんのように舌をちょっとだした表情をする「てへぺろ」っていうのが現代の若者のかわいい仕草です。

今はあかんべいをするのは、小さな子供でもあまり見かけなくなりました。

小さな子供がいたずらして逃げるときに、下まぶたをひきさげて赤い部分をみせて「あかんペ」という。昔は人をからかうときによくやる仕種ですが、時には遠慮のない女性が「デートしない?」の返事として、コケティッシュに、あかんべいをしてみせてくれたりするとかわいらしい。

「あかんべい」の語源は、仕種そのものの「赤目」です。
赤い目裏を見せることで、侮蔑あるいは拒否の意を示しています。

赤目が、「めあかう」「めかかう」「あかべ」「あかすかべ」と転じて、あかんべい、またはあかんべになったそうです。

あかすかべを使った例では『東海道中膝栗毛』に、「そんならさあ、お泊まり」「あかすかべい」と逃げるはずみに言ったと書かれています。

「あかんべ」と同意の言葉に、「べっかんこし」「べっかんこう」があります。もともとは「目がご」で、転じて、べかこう、くつかんこうとなりました。目がごの「がご」は、化物の意。

夏目激石の『坊ちゃん』は、うらなりの送別会で、「むこう側に座っていた山嵐が、俺の顔をみて、ちょっと稲光をさした。俺は返電として、人さし指でべっかんこうをしてみせた」というくだりがあります。

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